僕はデザイン制作を仕事にしているのですが、
デザインを作る上で目指しているモノがあります。
それがギリギリのデザインです。
クライアントはデザインの依頼をしてくる時に
漠然とですが想い描いている範囲を持っています。
「どこかで見たことがある、あんなデザインがいいな」と
その範囲のど真ん中だと、デザインは通りますが、
どこかで見たことがあるモノができてしまいます。
クライアントの思う範囲から外れると、発注意図と違うため
よほどのプレゼン力が無い限りボツになります。
そこで目指すべきは、クライアントが想う
範囲ギリギリのラインのモノです。
つまり、想定内と想定外の狭間を狙います。
もちろん、ど真ん中のデザインとセットでの提案をします。
そうすると、担当者から「私はすごくいいと思うんですが、社長が...」
とかいった感じで、ど真ん中のデザインが採用されることが多々あります。
僕のデザイン力の問題なのでしょうね.........
精進しなければ...。
このギリギリを攻めるという話、デザイナーの佐藤オオキさんの著書
「問題解決ラボ」でわかりやすく書かれていたので引用します。
デザイナーは誰かが見たことがあるものを作るわけでも、
誰も見たことがないものを作るわけでもなく、
誰もが見たことがあるようで
誰も見たことが無いものを作ろうとしています。顧客やユーザーだけでなく、市場全体あるいは社会が抱く
共通の「安心感の領域」があって、その領域すれすれに接しているような
アイデアこそが「正解」だと思うわけです。
そういえば、伊集院光さんも養老孟司さんとの対談本
「世間とズレちゃうのはしょうがない」の中で似たようなことを言っています。
お客さんたちがどういう秩序の中にいるのか、検討をつけて、
許容範囲のギリギリを行くのが、一番おもしろいところなんです。
どの業界でも、人が求めているものは、
誰もが見たことがあるようで、誰も見たことが無いもの
ということなんでしょうね。